滞在型アートプロジ ェクト「ソノ アイダ#TOKYO MIDTOWN AWARD」第4期が8月3日、日本橋三越前「奈良まほろば館」跡の「日本橋室町 162 ビル」1階で始まった。
東京ミッドタウンマネジメントが2008年から主催している「TOKYO MIDTOWN AWARD」受賞アーティストを対象に制作と発表の場を提供し、成長支援とアートを介した街の新たなにぎわい創出を図る同プロジ ェクト。主催は、東京ミッドタウンマネジメント(港区)。
中央通りに面したガラス張りの制作会場という、近隣の就業者や来街者が自由に見学できる環境の中で、毎期2人の受賞アーティストが2カ月間にわたり制作活動を続け、発想から制作プロセス、作品の完成までを全て一般公開する。
会期は当初7月28日の第3期で終了予定だったが、更なる街のにぎわい創出に期待が集まり2025年1月26日まで会期延長になった。期間中、アーティストたちは日本橋各所を巡って街の歴史を学び「日本橋の今」 を体感。地元住民との交流会やキッズワークショップの開催などでたくさんの交流が生まれているという。今後は、同取り組みに加え、日本橋エリアでのパブリックアート展示や再開発中の工事現場の仮囲い装飾など新たな 展開も計画しており、アートの力でさらなる文化創造を推進していくという。
第4期の参加アーティストは2021アートコンペ優秀賞受賞者で彫刻を軸にしたインスタレーションを手掛ける柴田まおさんと2010 準グランプリ受賞者で彫刻家の牧野永美子さん。柴田さんは「これまで実像(リアル)と虚像(フェイク)の境界をあいまいにしていく作品を『クロマキー』と『カモフラージュ』の二つの技法で制作してきた。この場所では過去の手法にとらわれない新しい表現ができればうれしい。江戸の始まりの地ともいえる『日本橋』で制作することの意味も考えてみたい」と話す。
牧野さんは「木彫を手掛けるようになって動物や人間のフォルムや行動様式の違いに興味がわいてきた。脊椎動物の背骨から発達したそれぞれの進化の違いが面白く、動物と人間をミックスさせた作品を作ってきた。最近は人間の『手』や『足』に気持ちが集中してきたので今回の制作はそちらにシフトするのではないかと思う。もし動物を作っていたら安心できるところに逃げたなと思ってください」と笑顔を見せていた。
東京ミッドタウンマネジメント、デザイン&アートディレクターの井上ルミ子さんは「受賞後のアーティストの活動に寄り添って支援するのが『TOKYO MIDTOWN AWARD』の特徴。アトリエで黙々とスタジオワークをしているアーティストが、こうしたオープンな場で挑戦することで表現の手数が増えるのは作家としても強みになる。二人のアーティストが日本橋の街や人の影響をうけて作品がどう進化していくのか。日々成長していく作家と作品を見に来てほしい」と話していた。
制作期間は約1カ月半。制作過程はすべて見学自由で9月13日の完成を目指す。14日から成果展を開催し9月26日にクーロージングトークイベントを行う。
公開時間は12時~19時。月曜日火曜日祝日休館、入場無料。