
日本橋の町会関係者や歴史愛好家らが3月29日、千葉県佐倉市で行われた「玉の井龍神山車(たまのいりゅうじんだし)」の復元披露記念式典に参加した。同日開催予定だった「さくら天下祭」実行委員会の招待に応えたもので約150年ぶりに復元された日本橋由来の「人形山車」を見学した。
江戸時代に山王祭番付21番として江戸市中を巡行していた同山車は、かつて旧日本橋区檜物町(現八重洲一丁目東町会)が所有していた。明治時代に入り電線などの影響で東京市中の巡行が困難になり、1879(明治12)年に「関岡御装束店」(旧日本橋区馬喰町)を通じて佐倉市の複数の町会が譲り受けたという。
現在「玉の井龍神人形」は同市の二番町、山車本体は肴町が所有保管しており、それぞれの町会は別の人形・山車の組み合わせで使用している。今回の復元は明治以来のことで、同日開催予定だった「さくら天下祭」で他の町会の山車とともに佐倉市内を巡行する予定だったが、あいにくの雨で中止となり急きょ市内の複合施設「夢咲くら館」1階ホールでのお披露目となった。
日本橋からの参加者を代表して「榮太樓總本鋪」(日本橋1)社長の細田将己さんは「日本橋の人間は神田祭と山王祭だけが江戸城に入ることを許されている天下祭であることを誇りとしている。江戸時代、山王祭で祖先がこの『玉の井龍神山車』を引いて江戸城を練り歩いていたことを想像するとワクワクする。この山車を守り続けていただいた佐倉と日本橋のご縁を大切にしたい」とあいさつ。
八重洲一丁目東町会の富永一さんは「25年前に歴史研究家から檜物町の山車が佐倉にあるらしいと聞いて驚いた。持参した『檜物町』の高張りちょうちんを備えて『玉の井龍神山車』は本来の姿に戻った。この山車がまた日本橋の町で引きまわしされる姿を見てみたい」と話していた。
「夢咲くら館」の営業時間は9時~20時。入場無料、展示は4月19日まで。