創業290年を越す「はけ」とブラシの専門店「江戸屋」（中央区日本橋大伝馬町2、TEL 03-3664-5671）の改修工事が終了した。

　1718年、将軍家より「江戸屋」の屋号を与えられ、江戸はけの専門店として開業した同店。以来、時代のニーズに合わせ、髪用ブラシや洋服ブラシ、歯ブラシからメーク用ブラシまで、多様な用途に合わせた約3,000種類の商品を扱う。

　改装前の店舗は、関東大震災後の1926（大正15）年に建設され、84年が経過した歴史的木造建造物。昨年秋、中央区に依頼して行った耐震性調査の結果を踏まえ、耐震性強化のための改修工事を行うことにした。今年4月からは仮店舗で営業していたが、半年ぶりになじみ深い元の店舗に戻る。

　日本橋は再開発が進む街。昔からの老舗も、店舗デザインや業態を変えていきつつある。今回の改修に当たり、店舗の雰囲気も一新してはどうかという案もあったが、「昔の趣を大切にしたい」という12代目店主・濱田捷利（かつとし）さんの思いをくみ、壁面や天井などは80年前に建てられた旧店舗の木材や素材を使い、以前の店舗をできるだけそのまま再現する形での改修となった。

　「江戸屋は古い伝統を受け継ぐ職人が一つひとつ心を込めて商品を扱うことで、お客さまとの関係を構築している。単なる生活用品としてだけではなく、洋服店やホテルなどで扱われたり、オーダーメードの商品を依頼されたりすることも少なくない。表向きの店舗を華やかにすることよりも、誠実を第一に従来通り品質の高い商品を提供し続けることが大切」と濱田さんは話す。

　営業時間は9時～17時。土曜・日曜・祝日定休。