スタートアップや企業成長をテーマにしたビジネスイベント「ACROVE GROWTH SUMMIT 2026~勝ち方の新標準」が4月23日、日本橋のコレド室町テラス3階・室町三井カンファレンス&ホール(中央区日本橋室町3)で開催された。主催はEC・D2Cプラットフォーム事業を展開するACROVE(新宿区)。
スタートアップや地方企業の成長戦略、投資、マーケティングなどをテーマに、起業家や投資家らが登壇し議論を行うイベントで、今回が初開催。セッションはA~Eの5つのパートで構成し、各業界の経営者15人が登壇した。元放送作家でスタートアップ支援ファンド「スタートアップファクトリー」(目黒区)代表の鈴木おさむさんが進行役を務める中、登壇者同士の活発な意見交換が行われた。
冒頭のセッションAは「ソロ経営のリスク。資本を武器にする新・生存政略。」をテーマに展開。ヤフー(現LINEヤフー)元社長でベンチャーキャピタル「ブーストキャピタル」(渋谷区)社長の小澤隆生さんと、アパレル業界史上最年少で東証グロースに上場した「YUTORI」社長の片石貴展さん、主催者で「ACROVE」社長の荒井俊亮さんが資本戦略とM&Aについて議論した。
小澤さんは投資環境について「現在はキャピタル原資がダブついている状況」と述べ、企業買収の判断については「欲しいと思った会社は今が一番安い」との考え方を披露。具体例として、資産価値の2倍の1,000億円で買収した宿泊予約サービス「一休」に関するエピソードに触れ、企業価値の評価や交渉過程の考え方について紹介した。
荒井さんは、自社の事業戦略について説明。後継者不足に直面する中小企業や地方企業の買収を進めているとした上で、「経営者に寄り添い、その孤独や負担の軽減につながる形で『喜ばれる事業買収』を心がけている」と話した。
「誰より推したい!ファンを作る売り方。」と題したセッションCでは、クラウドファンディング「マクアケ」社長の中山亮太郎さん、生産者のオンライン直売所「食べチョク」を運営する「ビビットガーデン」社長の秋元里奈さん、「concon」社長の高橋史好さんが登壇。「応援」をキーワードにした、「これからの売り方」について議論した。
鈴木さんが認知と人気の関係について「認知があっても必ずしも人気にはつながらない」と指摘すると、秋元さんはファン形成にはストーリー性が重要との見解を示した。中山さんからは「10人中9人に嫌われる勇気が必要」といった意見も挙がり、対象を絞った情報発信の必要性を議論した。
地元高崎の「だるま」に新たな付加価値をつけて「カイシャダルマ」として販売する高橋さんは、地方企業やスタートアップの発信について「あえて『地方創生』のような公民館的な枠には入らない。既視感のあるコミュニケーションでは新たな価値は生まれにくい」と持論を展開。差別化の重要性を示した。
このほかにもセッションは「物流」、「越境EC」、「コミュニケーション」など多岐にわたる領域で展開。来場者は議論に耳を傾け、企業成長の考え方について理解を深めていた。
イベントを終え、荒井さんは「日本橋は家族との思い出もあり、子どもの頃からなじみ深い土地。今回、そのような場所でACROVEとして初めて大規模なオフラインカンファレンスを開催し、多くの皆さまに参加してもらえたことがありがたい」と話す。「EC、ブランド成長、M&A、物流など、企業成長に関わるさまざまなテーマを第一線で活躍される皆さまと議論でき、意義のある機会になった」とも。