三井記念美術館(中央区日本橋室町2、TEL 03-5777-8666)で6月30日、「金剛宗家の能面と能装束」が始まった。主催は三井記念美術館と金剛能楽堂財団。
京都を拠点とする金剛流は、能のシテ方流派の一派で、法隆寺に仕えた猿楽座「坂戸座」を源流とする。坂戸金剛家23世・金剛右京氏慧に跡継ぎがなく、伝家の能面54面を北三井家・三井八郎右衛門に譲り、昭和11年、金剛宗家の絶家を遺言して没したが、翌年、野村金剛家から金剛巌を家元にたて継承した。三井家に譲られた能面は1984(昭和59)年に三井文庫に寄贈され、現在同美術館の所管となった。
今回の企画は三井家と金剛流との関わりから開催することになったが、同様の展示は都内美術館では初めて。展示作品も大部分が初公開となる。作品の選定や図録の編集・解説は、金剛流26世宗家・金剛永謹さんが務めている。能面は古くから野村家に伝わる物のほか、喜多家伝来の物、金春家伝来の物、大阪平瀬家伝来の物など、能面58面、能装束27領に加え、腰帯や扇などの小道具を展示する。作品の3分の1が永謹さんの収集物といい、演能者の能面に対する思い入れの深さと能面観がうかがえる展示という。
同美術館収蔵品からは、旧金剛家伝来の重要文化財「花の小面」と「孫次郎(おもかげ)」を特別展示する。
関連イベントとして、7月21日は金剛流宗家・金剛永謹さんによる「能面を語る」と題した土曜講座を行う。講座は美術館受け付けもしくはファクス(FAX 03-5255-5818)で申し込む。参加費は2,000円(無料鑑賞券1枚付き)。
開館時間は10時~17時。入館料は、一般=1,300円、大学・高校生=800円、中学生以下無料。月曜休館(7月16日、8月13日は開館。会期中毎週金曜は19時まで)。9月2日まで。