日本橋本町の老舗すし店「繁乃鮨日本橋本店」で7月4日、子連れ家族限定の「ファミリーデー」が行われた。
日本橋魚河岸の魚問屋「高根屋」にルーツを持つ同店。創業は1949(昭和24)年で、現在は佐久間一郎さんが三代目店主を務める。魚問屋の時代から宮中の神事に使う鮮魚を宮内庁に納め、現在も「宮中賢所御用達」店として毎朝納めているという。
利用客の大半が近隣の企業などの法人客だが、3月以降、新型コロナウイルスまん延の影響で、ビジネスユースは大きく減少。新規顧客の開拓を狙い、子育て家族層に向けた「ファミリーデー」を企画した。
今回のファミリー限定セット(1万円、にぎり、季節の一品、茶わん蒸し、ワンドリンク付き)は、大人2人子ども1人が楽しめるボリューム。地域アプリ「PIAZZA」で募集したところ、開始20分で完売した。イベント当日は予約した5組の家族連れが来店し、江戸前のすしを楽しんだ。
「土曜に店を開けるのは30年ぶり」と同店3代目店主の佐久間一郎さん。「以前から子どもたちに本物のすしの味を知ってもらいたいと考えていた。日頃の育児で大変な、子育て家族を応援したいという思いもあり、採算度外視で価格設定した。3密を避けて、バックヤードも含め約50坪の店に5組限定。空調も替えて換気も十分なので安心してすしを楽しんでほしい」と話す。「お客さまの反応を参考に、子育て層に喜んでいただける企画を定期的に考えていきたい。次回は近隣の飲食店にも声掛けを行い、日本橋全体でファミリー企画ができれば」とも。
東日本橋から来店したという女性は「小さな子ども連れで、こんなおいしいおすしが楽しめるとは思わなかった。まわりの客が全て子連れなので、子どもがぐずっても気を使わなくても良いのがうれしい」と話していた。