日本橋大伝馬町のシェアキッチン「社員食堂」で11月13日、北海道産キャベツ「札幌大球(たいきゅう)」を使ったイベント「なまら美味(おい)しい北海道ナイト/旅するmikibar」が開催された。
主催者は、ウェブ制作会社「YUIRO」社長の岩瀬友理さん、江別市のカフェ「soup」店主の境珠美さん、地域食材を楽しむイベント企画「旅するmikibar」を主宰する林美貴さんの3人。
今年で5回目となる同イベント。北海道フードマイスターでもある岩瀬さんが夫の転勤で1年半暮らしたという北海道の食と文化の魅力、パワーポイントと産地直送の食材で紹介した。会場にはグルメ好きの参加者が集まり、岩瀬さんの話に聞き入っていた。
キャベツづくしのコース料理はだしソムリエ認定講師で発酵マイスターの山根正充さんが担当。定番の「ロールキャベツ」「ソーセージとキャベツの酢と塩コショウ炒め」のほか、「キャベツごはん(北海道バター落とし)」など6品を提供した。
岩瀬さんによると、「札幌大球」は生産農家の減少で供給存続が危ぶまれている希少品種という。地元農家が明治初期に米国から輸入したキャベツ品種に改良を重ね、直径50センチ、重さ十数キロという現在の巨大キャベツに進化させた。
10月下旬から約2週間が収穫時期で、甘く柔らかい肉質はニシン漬けなどの漬物に利用され、昭和初期から戦前にかけて札幌の特産作物として一世を風靡(ふうび)したが、現在は漬物需要の減少や農家の高齢化、その大きさ故の高額な物流費が足かせとなって道内のみの流通となり、生産農家も10数軒となっている。
2014(平成26)年から地元有志の間で札幌の伝統野菜を守ろうとの機運が高まり、北海道のお好み焼きチェーンや漬物メーカーが季節限定で取り扱いを始め、生産農家も徐々に増加しつつあるという。
岩瀬さんは「札幌大球」の認知拡大を狙い都内でPR活動を続けている。「明日は札幌大球を台車に乗せて、東京の街を散歩する予定。散歩の後は大球を切り分けて都内の飲食店に試食していただき、取り扱っていただけるお店を増やしたい」と意気込む。
「取扱店が増えれば、『札幌大球』の生産農家も増えるはず。今年の募集は終わったが、年間4,000円で『札幌大球』のオーナーになっていただく制度もある。皆さまに甘くて柔らかい『札幌大球』のおいしさを知ってほしい」とも。