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日本橋船着場発着「水都秋涼クルーズ」 江戸の痕跡から東京の今を学ぶ

川上のクルーズ船から眺めた夜の日本橋

川上のクルーズ船から眺めた夜の日本橋

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日本橋南詰の「日本橋船着場」で10月21日、「水都2つの秋涼のクルーズ」が行われた。主催はNPO法人「水都東京を創る会」(千代田区岩本町1)。

江戸の痕跡から東京の今を学ぶ

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 同会の前身は、2003(平成15)年に都民が親しめる水辺空間を広げる活動をしていた複数の団体が結成した「江戸東京の川再発見実行員会」。2010(平成21)年にNPO法人化して、2011(平成23)年4月の「日本橋架橋100年」に合わせて活動を始めた。日本橋を拠点に、舟運イベントやシンポジウム開催を通じて水都江戸・東京の川の魅力を伝え、都心の川の再生・復権に取り組んでいる。

 水辺から東京の風景を楽しみ歴史的背景などを学ぶイベント「水都クルーズ」は、2019年11月の新型コロナ感染拡大による中止から2年半の活動休止を経て2022年4月から再開。4月から11月の各月1~3回、毎回1~3コースを運航している。同日の出航は、10時と16時。今回は、再開後初めて各便ともに満席となり、計74人が乗船した。

 同会理事長の早瀬仁人さんは「かつての東京は暮らしに水辺が密着していた。人々の目を再び水辺に向けるための活動を続けていたら今では区や都にも広がり、徐々ににぎわってきた」と話す。

 ツアーガイドは同会が主宰する「リバーガイド養成講座」合格者が担当。徳川幕府が整えた街の発展を支えた運河の歴史や、運河を活用した防災・治水施策から見る東京都の水辺対策など、さまざまなポイントに焦点を当て解説した。

 第1便は、「東京のパナマ運河・扇橋開門 水のエレベーター体験クルーズ」。日本橋、隅田川、小名木川、亀島川を「江戸東京の4大河川」と位置付け、日本橋から江東区のクローバー橋で折り返し、隅田川に出て築地大橋を経て日本橋に戻る約105分の航路を運航した。

 ガイドを担当した松本猛さんは「日本橋は五街道の拠点、野村證券本社ビルは証券、三菱倉庫ビルは物流、日証館ビルは金融、日本橋郵便局は通信、と出航してすぐに日本の中心拠点が次々に発見できる」と話す。

 同便のクライマックスは、小名木川の中央付近に架かる扇橋閘門(こうもん)。水位が異なる河川を通行可能にするため、サイホンの原理で水位を変動させるプロセスを閘室内で体験した。「東京のミニパナマ運河」を目当てに参加したリピーター参加者は「何度来ても飽きず楽しい」と話していた。

 ツアーではこのほか、明治期以降も経済発展を支えた道三堀の痕跡、ほぼ埋め立てられた江戸・東京の運河や掘割の中で江戸時代そままの川筋を残す「奇跡の1キロ」の亀島川を紹介。関東大震災発生100年事業の一環で「震災復興橋梁(きょうりょう)」として再建された「清洲橋」や「永代橋」の成り立ちなども解説した。

 16時出航の第2便「日本橋川・神田川・隅田川周遊クルーズ」は、日本橋川、神田川、隅田川に見られる江戸の名残りを案内。同便ガイドの早瀬さんは、江戸湾の海岸線にまつわる江戸から東京の成り立ちの話を中心に、橋梁、歴史的建築物や遺構について解説した。

参加者たちは「地図や画像と照らし合わせた説明で、江戸の景色がそこにあるようで楽しかった」「徳川幕府が権威を示すため、船で来たときに富士山や江戸城をしっかり見せる意図で都市デザインをしていたとは興味深かった」と話していた。秋以降のツアーは船上で日没を迎えるため、ライトアップされた都市の景色や橋を見ることができるため、「この時間は最高。天候にも恵まれて本当に良かった」との声もあった。

 次回は11月18日、「水都3つの深秋クルーズ」を開催する予定。問い合わせは「水都東京を創る会」で受け付ける。事前予約制。参加費は、一般=2,500円、4~12歳=1,000円。

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