
若手工芸作家の作品展示販売会「第一回KOGEI ARTISTS LEAGUE」が8月20日、日本橋三越本店本館6階美術特選画廊(中央区日本橋室町1)で始まった。
主催は三菱UFJフィナンシャル・グループ(千代田区)。同社が推進する「MUFG工芸プロジェクト」の一環。同プロジェクトはパーパス「世界が進むチカラになる。」の実現を掲げ、伝統工芸文化の継承と革新を支援する取り組みとして同グループが2023年に始動。東京藝術大学名誉教授の秋元雄史さんを総合監修に招き、若手作家の発表機会の少なさという課題に着目し、作品制作から展示・販売までを支援する仕組みを整えた。2024年には若手を対象とした「KOGEI ARTISTS LEAGUE」を立ち上げ、青木千絵さんや上出恵悟さんら世界的に活動する工芸作家13人をサポーターに招く。
3月にった最終選考会では、関東甲信越・北陸地区から集まった約90人の中から22人のファイナリストを選出した。荒木いちごさん(陶磁器)、家長百加さん(刺しゅう)、池上創さん(ガラス)、猪俣碧さん(木彫)など多彩な分野の若手が名を連ねる。展示では、ファイナリスト22人に加え、サポーター作家の最新作も並ぶ。
8月19日は、展示販売会に先立ち「コングレスクエア日本橋ホール」でトークイベントが行われた。秋元さんをはじめとするサポーターとファイナリストが登壇し、制作に込めた思いや支援の意図を語り合った。会場には多数の聴衆が詰めかけ、工芸への関心の高まりを示した。トークイベント後、日本橋三越の会場に移動し、ファイナリスト全員への表彰式も行われた。
サポーターからはファイナリストの作品への評価も寄せられている。「素材と組織を追求する成果が見える」(舘鼻則孝さん)、「華やかな色使いや大胆な素材選択に新しい可能性を感じる」(四代田辺竹雲斎さん)、「繰り返しの制作過程が生んだ唯一無二の造形美」(須藤玲子さん)、「漆の新しい表現に洗練を感じる」(細尾真孝さん)などで、次世代の成長に期待を寄せた。
展示会場では、ファイナリストの作品をサポーターと並列して展示・販売する。秋元さんは「げたを履かせたご祝儀展示ではあるが、いずれ作家として対等に並ぶ日が来るだろう」と話す。MUFG経営企画課ブランド戦略グループ次長の糸川佳孝さんは「伝統を受け継ぎながら革新に挑む若い作家の姿に工芸の未来を感じる。MUFGとしてしっかり支援していきたい」と話す。
開催時間は10時~19時。入場無料。8月25日まで。