取り壊し直前の日本橋木屋ビルディングで屋上ライブ-最初で最後

「木屋ビルディング」屋上で、2人組の音楽ユニット「ハウ・トゥ・フラワー」のライブの様子

「木屋ビルディング」屋上で、2人組の音楽ユニット「ハウ・トゥ・フラワー」のライブの様子

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 日本橋の老舗刃物店「木屋」(中央区日本橋室町1、TEL 03-3241-0110 )が入る「木屋ビルディング」屋上で9月12日、2人組の音楽ユニット「How to Flower(ハウ・トゥ・フラワー)」のスペシャルライブが行われた。同ユニットは日本橋を中心に活動する「日本橋系アーティスト」を自称し、今年7月、同ビル地下の喫茶木屋跡でもライブを行っている。

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 間もなく取り壊しが予定される同ビル。屋上でのライブは、1954(昭和29)年の竣工以来、半世紀にわたる歴史のなかで、今回が最初で最後となる。

同ライブを提案したのは、喫茶木屋の店長・荒川良則さん。「記念となる屋上ライブは誰がやってもいいというものではなかった。日本橋のことを大切に思う2人の人柄や、ここから世界に音楽を伝えたいという思いが感じられたからこそ実現できた」と感慨深く話す。

 普段は人が立ち入ることができない屋上からは、歴史ある老舗店と開業準備中の大型商業施設「コレド室町」が並び立つ様子など、移り変わる日本橋の風景が一望できる。その屋上で、夕焼けを背景に始まった「ルーフトップコンサート」。1969年にビートルズがロンドンのアップル社屋上で予告もなく演奏を行い、それが事実上彼らの最後のライブになったエピソードとも重なる。ギタリストの牧添哲英さんが、ポール・マッカートニーが使っていたものと同じ型のベースを、マッカートニーと同じ左利きで演奏するというシーンも。ハウ・トゥ・フラワーと木屋の出会いのきっかけが、喫茶木屋に展示されているアップル社のビンテージマッキントッシュPCだったこともあり、さまざまな思いが交錯するライブとなった。

 演奏されたのは、同ライブの開催が決まってから作り始めたという全9曲。最後に演奏された「Red Eve」について、「直訳すると『赤い前夜』という新たな始まりを予感させるタイトルだが、『再開発』を英訳した『Redevelopment(リデベロップメント)』の最初の6文字をとったもの。この曲は日本橋への思いを込めて作った自信作」とピアニストの青木智世さん。日本橋の街を見守り続けてきた屋上で、2人は、ときに空を見上げ、風を感じながらすべての曲を歌い上げた。

 木屋日本橋本店は今月21日でいったん閉店し、同ビルは来月末取り壊し予定。来月28日には、コレド室町内に新店舗がオープンする。

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