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日本橋で「のれん」再創造プロジェクト始動 街ぐるみで新たな才能育成

4チーム中、唯一男性で構成する「野郎チーム」は創業300年の老舗「にんべん」ののれんを作成することが決まった

4チーム中、唯一男性で構成する「野郎チーム」は創業300年の老舗「にんべん」ののれんを作成することが決まった

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 「WIRED CAFE News日本橋三井タワー店」(日本橋室町2 TEL 03-3231-5766)で7月31日、若手クリエーターと日本橋をつなぎ、日本橋の未来をつくる共創プロジェクト「Nihonbashi β project ローンチイベント」が行われた。主催はJDN、バスキュール、三井不動産の3社で構成する「Nihonbashi β project」。

第一線で活躍するクリエーターらによるパネルディスカッション

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 日本橋の企業・店舗・人を若手クリエーターがアートの力で再創生し、街と来街者に今までになかった「日本橋」を体験してもらおうと展開する同プロジェクト。

約1年の準備期間を経て今年8月に始動した。第一弾のテーマは「未来の暖簾」。老舗店の象徴である「のれん」と、最先端テクノロジーや自由なアイデアを掛け合わせ、来街者に新しい体験を提供するインスタレーションを約100日間で作成する。

 イベントでは、多摩美術大学教授でインターフェースデザイナーの中村勇吾(なかむら ゆうご)さん、バスキュール社長でクリエーティブディレクターの朴正義(ぼく まさよし)さん、会社員の傍ら精力的にアーティスト活動を行う後藤映則(ごとう あきのり)さん、ラフォーレ原宿のアートディレクションなどを手掛けるクリエーティブディレクターの矢後直規(やご なおのり)さんら各業界のフロントランナーが登壇しトークセッションを行った。

 中村さんは、同プロジェクトの舞台が「伝統のある日本橋」であることを強調した上で、「日本橋でしかありえない良さを見つけて活用すること」と「若いクリエーターにとって大きなチャンス」という意味を重ねて「日本橋はおいしい」と表現し、当日集合した若手クリエーターたちに勇気を与えるとともに制作意欲を鼓舞した。

 公募で選ばれたのは、異なる企業に所属するデザイナーやディレクター、エンジニアなど16人の若手クリエーターたち。4チームに分かれてそれぞれ「コレド室町」「にんべん日本橋本店」「マンダリン オリエンタル 東京」「三井ガーデンホール日本橋プレミア」となどの有名店ののれんをリデザインしていく。日本橋の企業である東レは最新素材を提供。2016年に福徳の森でイルミネーション・アートのインスタレーションを行ったバスキュールがディレクション指導を担当するなど、街ぐるみで全面的にバックアップしていく。

 今後、月2回ペースで集まり、第一線で活躍するクリエーターから指導を受けながら進行する予定。優秀チームには副賞として、2019年に日本橋に竣工予定の新施設の開業イベントにクリエーターとして参加する権利が与えられる。今後、新しい才能に向けて機会を開き、第二弾、第三弾と進む中で海外でも通じるクリエーター育成を目指すという。

朴さんは「日本橋は何百年も続く老舗店が保守的にならずに、伝統や想いを大切にしながら、新しい形の発信や最新のテクノロジーを取り入れることにも積極的な面がある。若手育成のプロジェクトが多方面から注目されることにより、この街が『トライしやすい街』と認識されるようになれば」と期待を寄せる。

 「にんべん」の高津克幸社長は「『にんべん』の社名は、実はのれんに由来している。創業時、屋号の伊勢屋伊兵衛にちなみ、のれん印(商標)を『イ(にんべん)』の文字にして江戸市中に大きく掲げていたところ、『伊勢屋』よりも『にんべん』で名が通るようになった。いわば江戸町民が名付けたようなもの」と話す。「本来のれんには、しきたりや形式がさまざまあるものだが、今回は定番に捉われることなく、若い人たちにすべてお任せする。新しい概念から生まれるアイデアを楽しみにしているし、気兼ねなく何でも発言していただき、一緒に考えていければ」と期待を寄せる。

 今後もワークショップを重ね、完成したのれんは11月上旬、「nihonbashi β 未来ののれん展」でお披露目する予定という。

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