写真展「木村伊兵衛 パリ残像」が10月24日、日本橋三越本店新館(中央区日本橋室町1)7階で始まった。
「ミラボー橋」をバックに記念写真が撮れるフォトスポットも用意
東京下町の出身で、子どもの頃から写真に興味を持ち、就職後も仕事場近くの写真館に出入りして営業写真の技法を習得したという写真家、木村伊兵衛。1922(大正11)年、自宅に写真館を開店した後、花王石鹸の広告部門でプロ写真家として活動を始めた。雑誌「光画」に発表した東京下町のスナップショットと、「ライカによる文芸家肖像写真展」で頭角を表し、以後「ライカ使いの名手」として土門拳とともに「リアリズム写真運動」を推進し、戦前・戦後を通じて日本の写真界をけん引した。
1954(昭和29)年、日本人写真家として戦後初めてヨーロッパ取材で、ライカのカメラと開発されたばかりの国産カラーフィルムを手に渡仏。パリでは写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンと親交を深めたという。翌年再び渡仏し、写真家ロベール・ドアノーの案内でパリ祭を撮影。生きたパリの町並みと下町の庶民の姿をフィルムに収めた。
作品の中でもとりわけ異色なカラーで表現したパリの写真は、撮影後半世紀を経て、アルル国際写真フェスティバルやパリ市庁舎写真展などで紹介され、あらためて国際的な評価を受けることとなった。
会場では、木村が2年間にわたり撮りためた写真作品の中から、往時のパリの魅力を描いたカラー写真作品約131点を展示する。27日は14時から、同展監修者で写真家の田沼武能さんによるギャラリートークも予定する。
開催時間は10時~19時(最終日は17時30分まで、入館は閉館の30分前まで)。入場料は、大人・大学生=800円、中学・高校生=600円、小学生以下無料。11月8日まで。