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日本橋大伝馬町各店で「べったら市」企画 開催中止惜しみ3密避けて独自に展開

例年、10万人を超える参加客を集める日本橋大伝馬町の風物詩「べったら市」

例年、10万人を超える参加客を集める日本橋大伝馬町の風物詩「べったら市」

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  日本橋大伝馬町にある寶田恵比寿神社周辺の商店で現在、コロナ禍で中止となった「べったら市」へ思いをはせる企画を展開している。

大伝馬町の店舗が3密避けて独自に開催

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 同神社は1606(慶長11)年、江戸城拡張の折に城外から集団移転した宝田村の鎮守として同地に祭られた。徳川家康から拝領したという恵比寿像は運慶作とも伝えられ、商売繁盛、家内安全、防火の守護神として関東一円で広く親しまれている。

 同神社が鎮座する大伝馬町かいわいは江戸城常磐御門から日光・奥州に続く街道として繊維問屋など大店(おおだな)が並び、江戸時代前中期は江戸一番のにぎわいを見せていた目抜き通り。宝暦年間(1751~1764年)から続くべったら市は、大伝馬町の秋の風物詩で、毎年2日間で約10万人を超える人でにぎわう。

 10月20日に行われる「恵比寿講」は、1年の最大の稼ぎ時である歳末を迎えるにあたり地元商人が商売繁盛を願う重要な行事。講の前日、参道に市が立ち、魚や野菜、神棚などが売られていた。中でも、麹(こうじ)をべったりと付けた浅漬け大根は甘いものが貴重な時代に人気を呼び、よく売れたことから「べったら市」と呼ばれるようになったという。

 今年は新型コロナウイルス感染拡大を受けて、開催見送りとなった同市。恵比寿講は例年通り開催されるが、町内を挙げての参拝や祈祷は予定していないという。毎年同イベントを心待ちに開いていた町内の各店や団体では、それぞれ3密を避けながら趣向を凝らした独自の企画を用意する。

 宝田恵比須神社近くのモロッコカフェ「ダリア食堂」(日本橋大伝馬町2)ではイベント「ダリア酒場@べったら市2020」を開く。「日本酒利き歩き」を主宰する佐々木酒店(日本橋人形町2)が提供する各地の地酒販売のほか、小伝馬町のカフェ「華月」(小伝馬町2)の「お酒に合うパウンドケーキ」、千駄ヶ谷のカレー専門店「ricocurry (リコカレー)」のカレー、老舗洋食店「レストラン桂」(日本橋室町1)のテイクアウトメニューも用意。店頭では堀留の衣料卸「畑龍 HATARYU」の衣料品やファッション雑貨を特別価格で販売する。

 天ぷらの銘店「秋山」(日本橋大伝馬町4)では十字屋の希少品「皮付きべったら漬け」を30本限定で販売し、耐熱ガラスメーカーHARIOがプロデュースする「HARIOランプワークファクトリー」(日本橋大伝馬町2)では、べったら漬けモチーフのアクセサリーを販売する。

 大伝馬町の「社員食堂」(大伝馬町13)では、日頃フードイベント「美貴バー」を主宰する林美貴さんが19日19時30分から「べったら市番外編」を行う。べったら漬けをアレンジしたおつまみやドリンクを提供し、「Oh!伝馬町」などの地元にちなんだ楽曲を持つブルースバンド「縄文ズ」のミニライブなども企画する(参加費=1,500円、フード、ドリンク1杯付)。

 問屋街としての顔を持つ大伝馬町周辺では、例年各種卸店が同市に合わせて特価セールを企画するが、今年も各店が目玉商品を用意。桐製品専門店「桐子モダン」(日本橋本町3)では2日間、新潟産の新米や「新高梨」、まな板など桐製品を特別価格で提供。大伝馬町の織物問屋「小野商店」(大伝馬町3)で2日間限定はタオル・手拭いの大特価セールを開催する。

 「毎年大きなにぎわいを見せるべったら市だが、今年は中止となって寂しい限り」とダリア食堂店主の佐々木志帆さん。「大伝馬町周辺には『べったら市』ラブの住民が多い。来年への思いを込めてそれぞれ3密を避けて、ささやかながらも趣向を凝らしたイベントを企画している。寶田恵比寿神社参拝の帰りに、ぜひのぞいてみてほしい」と呼び掛ける。

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