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日本橋で「べったら市」 江戸から続く恒例行事、訪日外国旅行者の姿も

寳田恵比寿神社の前には大きなちょうちんが掲げられ、通りには奉納ちょうちんが連なる

寳田恵比寿神社の前には大きなちょうちんが掲げられ、通りには奉納ちょうちんが連なる

 江戸時代から続く秋の恒例行事「べったら市」が10月19日・20日、日本橋大伝馬町・本町・堀留町など「宝田恵比寿神社」と「椙森(すぎのもり)神社」周辺で開催された。

江戸から続く恒例行事

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 宝田恵比寿神社(中央区日本橋本町3)は1606(慶長11)年、江戸城拡張の折に江戸城外から移転した宝田村の鎮守の神として同地に祭られた。徳川家康拝領と伝わる恵比寿像は運慶作とも伝えられ、商売繁盛、家族繁栄、火防の守護神として関東一円の人に慕われている。

 同神社が鎮座する大伝馬町かいわいは、江戸城常磐橋門から日光・奥州に続く街道として繊維問屋など大店(おおだな)が並び、当時江戸一番のにぎわいを見せた。宝暦年間から続くべったら市は大伝馬町の秋の風物詩で、毎年2日間で約10万人を超える人出でにぎわう。

 10月20日の「恵比寿講」は、商人にとって最大の稼ぎ時である歳末の商売繁盛を願う重要な行事。「宝田恵比寿神社べったら市保存会」によると、江戸時代、前日は神社周辺に市が立ち、魚や野菜、神棚などが売られていたという。中でも、麹(こうじ)をべったりと付けた浅漬け大根は甘いものが貴重な時代に人気を呼び、よく売れたことから「べったら市」と呼ばれるようになった。

 べったら漬けは、塩漬けしたダイコンを米こうじと砂糖などで漬け込んだ、甘みと歯応えが特徴の漬物。表面に付いた米こうじなどがべたべたしていたことや、若者が買い求めたダイコンをぶら下げ、すれ違う女性に「べったり付くぞ」とからかったことから、その名が付いたといわれる。

 江戸時代には庶民から武士まで広く親しまれ、第15代将軍の徳川慶喜も好んで食べたと伝えられる。現在も東京を代表する郷土漬物の一つとして受け継がれている。

 会場には名物のべったら漬けを販売する店をはじめ、広島焼きや大阪のたこ焼き、山形の玉こんにゃく、七味トウガラシなど、全国各地のご当地グルメや特産品を扱う露店約500店が並んだ。

 宝田恵比寿神社前には大きなちょうちんが掲げられ、通りには1500を超える奉納ちょうちんが連なった。来場者は露店を巡って買い物や食べ歩きを楽しんだほか、無料の飲食スペースで購入した料理を味わっていた。飲食スペースは誰でも自由に利用できる。

 19日にはみこしの巡行、20日には東京では今年最後といわれる盆踊りも行われ、普段はオフィスワーカーが行き交う日本橋の通りが祭りの会場となった。近隣から訪れた来場者は「例年、2日間のうちどちらかは雨に見舞われるが、今年はなんとかもった。そのせいか、例年よりも来街者が多く、混雑している印象。近くにインバウンド客向けのホテルが増えたせいか、海外からのお客さんも多い」と話す。

 日本橋大伝馬町郵便局長の星和男さんは「今年は数年ぶりに2日間とも平日開催となり、人出が多い。町会詰め所で用意したビールが足りなくなり、急きょ買い足しに走ったほど」と笑顔を見せていた。

 商家が集まる日本橋の歴史を伝える地域行事として受け継がれてきたべったら市。周辺にオフィスやマンション、宿泊施設が立地する現在も、地域住民やワーカー、国内外からの来訪者が集まる機会となっている。