旧運河沿いの倉庫改装オフィス公開-古き日本橋の姿伝える

アーキテクツオフィス1階のカフェスペース。天井の一部に倉庫だったころの名残がある。

アーキテクツオフィス1階のカフェスペース。天井の一部に倉庫だったころの名残がある。

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 小網町の「アーキテクツオフィス」(中央区日本橋小網町)で5月30日、建物内部の公開と解説イベントが行われた。開催中の建物一般公開イベント「open! architecture 2010」の一環。

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 アーキテクツオフィスは、建築設計事務所、ギャラリー、カフェが一体となった3階建ての施設で、一級建築士の石川雅英さんが昭和初期に建てられた繊維問屋の倉庫を改装して、2005年春に開いた。

 石川さんは、西麻布の居酒屋「権八」や銀座の交殉ビルなどを手がけ、日本的な古い要素と現代的要素を融合させたデザインを得意とする建築家。同施設でも、あえて古いものを残した設計とするなど工夫を凝らしている。

 小網町は、かつて無数の運河が張り巡らされていた地域で、水運を利用する問屋が多数存在していた歴史がある。改装前の倉庫は、現在は埋められてしまった旧運河沿いに立っていたと見られ、建物裏手には水路に泊めた船から荷物を運び込むための扉があり、屋上には行き交う船を誘導した物見台があるなど、当時の暮らしを想起させる趣を建物の中にとどめている。

 当日は、石川さん自らが建物内部を案内して特徴を伝え、後半にはカフェスペースで日本橋地域の歴史についてスライドを用いて解説した。同オフィス2階のギャラリースペースでは、建築写真家・堀内広治さんによる個展「聖なる壁-モルドヴァ地方の教会群」が開催中で、堀内さんによる教会壁画の歴史的背景の解説やルーマニアでの撮影エピソードの紹介などが併せて行われた。

 教授に薦められて参加したという東京都市大学1年の奈良さんと石原さんは「屋上の物見台など古いものが残されていることがすごいと思った」と感想を述べた。

 アーキテクツオフィス1階のカフェの営業時間は11時~19時。水曜定休。

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