日本橋倶楽部ビル、取り壊しへ-施設は来月開業のビルへ引越し

ロンドンの社交クラブに倣って作られたバー。

ロンドンの社交クラブに倣って作られたバー。

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 再開発が進む日本橋室町の「日本橋倶楽部ビル」(中央区日本橋室町1)が年内で取り壊しとなり、ビル内の施設は今月29日、一時営業を停止する。

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 日本橋倶楽部は、1890(明治23)年設立の社交クラブ。急速に近代化が進んだ明治の東京で、経済の中心地だった日本橋の実業家が欧米に倣って設立したという。現在は日本橋の企業経営者に限らず、同地域にかかわりのある経済人で構成される。個人会員は約320人。

 設立時は浜町に拠点があったが、関東大震災や空襲を経て、1955(昭和30)年、現在の場所に地下1階、地上8階のビルを構えた。会員同士の交流を目的とし、施設内には会議室や貸室、ラウンジ、食堂を開設。ロンドンの社交クラブには必ずあるというメンバーズバーも運営する。

 ラウンジからつながるバーは、ミッドセンチュリー調の内装に暗めの照明の落ち着いた雰囲気。カウンターは材木店を営む会員からの寄付だという。営業時間は平日17時~20時で、近隣で働く会員が仕事終わりや会食の前などに利用する。常連客は「ここに来れば、いつも誰かがいる。異業種の人同士が利害関係なく交流できる場」とその魅力を語る。

 各施設は10月12日、開業準備中の室町東三井ビルディング(日本橋室町2)12階のオフィスフロアで営業を再開予定。最終的には、同跡地に2013年末に竣工予定の新しいビルに入居が決まっているため、それまでの仮住まいとなる。

 「会員からは、できるだけ現在と同じものを再現してほしいと言われている。ラウンジ入り口のパーテーションや5階の洋室にある欄間(らんま)などはそれだけでも価値のある年代もの。そっくりそのまま新しいビルに移転させる」と同クラブ支配人の島貫捷二さん。「新しいバーの営業は21時までとなり、カウンター越しに建設中のスカイツリーを見ることができる。バーは、それがあって初めて社交クラブと言える象徴的存在。さらに多くの会員に利用してもらえれば」とも。

 食堂・バーの利用は会員とその同伴者のみに限られる。

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