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日本橋で新人日本画家、初個展「砂のない時計」 閉じ込めたい永遠を描く

今春武蔵野美術大学を卒業し、4月より同校の大学院修士課程日本画コースに進学した大寺史紗さんの作品「思春期 Adolescence」

今春武蔵野美術大学を卒業し、4月より同校の大学院修士課程日本画コースに進学した大寺史紗さんの作品「思春期 Adolescence」

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 日本橋大伝馬町の「みうらじろうギャラリー」(中央区日本橋大伝馬町2、TEL 03-6661-7687)で5月13日、大寺史紗(おおてら みさ)さんの初個展「砂のない時計」が始まった。

卒業制作展で優秀作品賞を受賞した大作「生まれ落ちる」

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 大寺さんは、今春武蔵野美術大学を卒業し、4月より同校の大学院修士課程日本画コースに進学した。将来は「伝統的な日本画材を使いながらも、従来の日本画の概念を覆すような作品の作り手」を目指す。同展のメインとして展示された作品「生まれ落ちる」は、卒業制作展で優秀作品賞を受賞したもの。サイズは縦235センチ×横190センチとひときわ大きく、同ギャラリーオーナーの三浦次郎さんも「ドアを通らないので、パネル貼りしてあったのを外してもらった。開廊以来最も大きな作品展示になった」と話す。

 そのほか、同時期に制作したペンによるモノクロームの作品、日本画の和紙、墨、岩絵の具を用いた作品など計18点を展示。日本画は「漆黒」を表現するために墨と膠(にかわ)を交互に数十回も塗り重ねるなど、奥行きを感じさせる作品となっている。「大寺さんの作品は、線も塗りもディテールがしっかりしている。そういう力を持つ作品だけが鑑賞者に強い印象を与えることができる」と三浦さん。「今まではグループ展の中の一つの作品として展示してきたが、個展では彼女の世界観だけで統一した紹介ができる」とも。

 展示タイトルを「砂のない時計」としたのは、「今のままでいたい、時間を止めておきたい」という思いから。展示作品のうち11点は少女の顔が描かれており、これは大寺さんの自画像だという。制作のコンセプトについて大寺さんは「私自身が持つ女性としての憂鬱(ゆううつ)、喜びを、形を崩し変形させた女性像として表現している」と説明。「写真では伝わらない、細部や質感を見に来てほしい」と来場を呼び掛ける。

 営業時間は12時~19時。月曜・火曜定休。今月29日まで。21日、22日、28日、29日は大寺さんが在廊予定。

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