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東日本橋にVR活用のリハビリセンター 日本初、完全成功報酬システム導入

日本橋の「メディブイアール・リハビリテーションセンター東京」スタッフ

日本橋の「メディブイアール・リハビリテーションセンター東京」スタッフ

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 東日本橋に10月20日、VRを活用した自費リハビリテーション施設「mediVR(メディブイアール)リハビリテーションセンター東京」(中央区東日本橋2)がオープンした。運営はmediVR(大阪府豊中市寺内2)。

日本初、完全成功報酬システム導入

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 同社の創業は2016(平成28)年。循環器内科医の原正彦さんが大阪大学との産学連携ベンチャーとして立ち上げた。心筋梗塞等の専門医として、脳梗塞や脳出血後の後遺症のリハビリに苦しむ患者を多く見てきた原さんが、リハビリにVR(仮想現実)を導入することを提案。姿勢バランスとデュアルタスク(二重課題)型認知処理機能を同時にトレーニングできるリハビリテーション用医療機器「mediVRカグラ」を開発した。

 同センターの新本啓人センター長によると、開発段階では、小脳梗塞後のリハビリと、デュアルタスク処理能力の向上効果を期待したが、同機器の「脳の再プログラミング」を促す効果が想定以上に高く、臨床現場から「運動失調、歩行機能、上肢機能、認知機能、慢性疼痛(とうつう)に対しても有用」と報告が相次いだという。

 学会でこれらの症例を提示すると大きな反響を呼び、経済産業省主催の「ジャパン・ヘルスケア ビジネスコンテスト2018」でグランプリを獲得。2019年から全国の大学病院やリハビリ施設、老人 ホームなどに向けて「mediVRカグラ」の販売を始め、現在は全国47施設が導入しているという。コロナ禍では濃厚接触回避のため、接触機会が軽減できるVRを使ったリハビリへのニーズがさらに高まり、今回東京にカグラ専門の施設を開設する事となった。

 リハビリは、ヘッドマウントディスプレーとコントローラーを装着して、座った姿勢(座れない患者は横たわった状態)で行う。ゲーム感覚で、落ちてくるアイテムを拾うなどの動作を、上下左右に腕を伸ばして行う。20分ほどの単純な動作の繰り返しだが、セラピストが連携して各症状に合わせた指示を調整しながら進めるため、患者は課題を着実に乗り越えることができるという。

 脳性まひの男の子を持つ母親の鎌込江理さんは「1歳から続けてきたリハビリ通いに限界を感じる中、小学6年生の9月にカグラでのリハビリを始めた。1回40分、週5回のリハビリを1カ月続けると自力歩行ができるまでに回復し、翌年3月の小学校の卒業式では自力で歩いて卒業証書がもらえるようになり支援学級や学会で大きな話題になった」と話す。

 1年半前に脳出血を発症し、右片まひが残った井鍋安弘さんは「病院でのリハビリ治療に光明を見いだせないまま、自身の会社経営を抱え不安を感じていたが、カグラでリハビリに取り組んだことで、現在は日本各地への出張ができるまでに回復した。一人でも多くの『リハビリ難民』がカグラに出会えるように声を届けたいと」と話す。

 新本さんは「やっていることは、座ってゴーグルをつけて右左に手を動かし ているだけ。VR空間では自分の体が見えないため没入感が高く、脳が『再び動けるようになる体』を学習する『再プログラミング』に適している。患者を治せるという実績と自信に基づき、世界にも例のない成功報酬型のリハビリ施設とした。リハビリで苦労されている一人でも多くの方々に『mediVRカグラ』を体験してほしい」と話す。

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