プレスリリース

リジェネソームと共同研究をしている芝浦工業大学 生物微小流体工学研究室から、3Dクリノスタットと、オンチップ細胞培養マイクロ流体デバイスを組み合わせた卓上実験プラットフォームが展示されました

リリース発行企業:スペースシードホールディングス株式会社

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「重力の異なる暮らしをデザインする展」で展示された3Dクリノスタット × オンチップ細胞培養

スペースシードホールディングス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役:鈴木健吾)のグループ企業であるロンジェビティテックベンチャー、リジェネソーム株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:佐久間善太郎、以下「リジェネソーム」)は、2026年7月21日(火)に東京・南青山で開催された展示イベント「重力の異なる暮らしをデザインする展」において、芝浦工業大学工学部機械工学課程 生物微小流体工学研究室(二井信行教授)との共同研究に関連する展示が行われたことをお知らせします。

展示されたのは、顕微鏡を内蔵した3Dクリノスタットと、オンチップ細胞培養マイクロ流体デバイスを組み合わせた卓上実験プラットフォームです。3次元回転によって細胞に働く重力ベクトルを時間平均化して微小重力を地上で模擬しながら、チップ内の細胞を灌流培養し、回転を止めることなく顕微鏡で観察し続けることができます。会場では稼働状態の実機が展示されました。

リジェネソームと芝浦工業大学 二井研究室は、微小重力環境を「血管の変化を加速して見せる環境」と位置づけ、宇宙生物科学および老化研究の実験系として活用しています。血管内皮の機能低下は、加齢に伴う全身の変化の起点のひとつです。宇宙飛行士に生じる心血管系のデコンディショニングは地上の加齢性変化と機序を共有する部分が大きく、重力負荷を低減したときに血管がどのように変化するのかを観察することは、老化の根本原因を捉える手がかりになります。

出展された内容

1. 顕微鏡機能を内蔵した3Dクリノスタット

外側フレームと内側フレームをそれぞれステッピングモータで独立に回転させ、培養試料に作用する重力ベクトルを3次元的に平均化することで、細胞にとっての微小重力環境を再現します。特徴は、内側フレームに顕微鏡モジュールそのものを搭載している点にあり、無線通信とスリップリングを介した給電により、回転を止めずに観察を継続することができます(出典1)。
出典1: 西方 洸太郎, 関根 翔, 二井 信行, 「模擬微小重力下における血管 Organ-on-a-chip を利用した血管内皮細胞の遊走および管腔網の形態評価」, 第71回日本宇宙航空環境医学会, 2025年11月.

装置本体のディスプレイには、センサによる重力ベクトル分布や培養温度・回転速度のモニタリング、撮影画像のライブ表示を行うことができ、3Dプリンタとオープンソースハードウェアを活用することで、一般的な実験室の卓上に設置できる構成としています。


2. オンチップ細胞培養マイクロ流体デバイス

デバイスはカバーガラス上に、PDMS製マイクロ流路、PMMA・PDMS製リザーバを配置した構造となっており、ヒータ上で37℃加温することで、培養液・緩衝液リザーバ間のPDMS膜を介してガス交換を促進し、外部CO2インキュベータに依存せずに培養雰囲気を維持できます。マイクロポンプには点字ディスプレイ用アクチュエータを活用しており、ピンでPDMS膜を押下することによって、ポンプおよびバルブとして機能させます。これにより、チップ外に配管やシリンジポンプを必要とせずに灌流培養を行えます(出典2)。 二井研究室ではこれまでに1G環境下で、血管網のリモデリング過程をチップ内で連続的に追跡することを実現しています(出典3)。
出典2: Nishikata K, Nakamura M, Arai Y, Futai N. "An Integrated Pulsation-Free, Backflow-Free Micropump Using the Analog Waveform-Driven Braille Actuator." Micromachines 13(2):294 (2022). https://doi.org/10.3390/mi13020294
出典3:Nishikata K, Doi K, Kaneoya N, Nakamura M, Futai N. "In Vitro Model of Vascular Remodeling Under Microfluidic Perfusion." Micromachines 16(1):14 (2025). https://doi.org/10.3390/mi16010014

血管網のリモデリング過程を、同一のチップ内で顕微鏡下に追跡できる系は限られています。血管リモデリングは組織の加齢性変化と密接に関わる現象であり、この過程を実験室の卓上で反復的に観察できることは、老化研究にとって実用的な意味を持つと考えられます。

チップ内でヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を自発的に管腔形成させ、灌流培養を継続します。展示では、この一連の過程を捉えたタイムラプス画像がポスターで紹介されました。血管網が形成から退縮に至るまでの全過程を、同一のチップ内で顕微鏡下に追跡できる系は限られています。血管の退縮は組織の加齢性変化と密接に関わる現象であり、この過程を実験室の卓上で反復的に観察できることは、老化研究にとって実用的な意味を持つと考えられます。

背景:老化研究にとっての微小重力
人が宇宙空間で安全に生活するためには、微小重力・宇宙放射線・閉鎖環境が生体に与える影響を正確に理解し、克服する必要があります。微小重力は骨量の減少や筋萎縮、心血管系機能の低下をもたらすことが知られており、宇宙放射線は活性酸素の発生を介して細胞に酸化損傷を与えます。これらは地上における加齢性変化や廃用性症候群と機序を共有する部分が大きく、リジェネソームが取り組む老化研究と直接つながります。

一方、実際の微小重力環境での生命科学実験は、実験機会の少なさと輸送コストの高さが大きな制約となります。その代替手段として地上で微小重力を模擬するクリノスタットが用いられてきましたが、従来の実験の多くは単層培養にとどまり、血管のような3次元組織の灌流培養や、培養中のリアルタイム観察は困難でした。回転する装置の中で細胞を「見続ける」ことができなかったためです。リジェネソームと芝浦工業大学二井研究室はこの制約を取り除くこと自体が、宇宙生物科学および老化研究の律速要因を解消すると考え、共同研究に取り組んでいます。

共同研究の位置づけ
リジェネソームは、老化の根本原因の解明と改善を目的とするバイオベンチャーです。「2030年に、健康寿命を延伸する老化防止技術を実証する」ことをビジョンに掲げ、2040年に人類が月面に生活圏を拡大するために必要となる、地上でも応用可能な老化防止技術の確立に取り組んでいます。

本共同研究では、芝浦工業大学 二井研究室のオンチップ細胞培養・微小重力模擬技術と、リジェネソームが進める細胞実験の自動化・解析技術を組み合わせ、実験の自律化と、微小重力が老化関連指標に与える影響の解析に取り組んでいます。

今後の展開
本プラットフォームは、軌道上実験の予備検討・地上対照実験の基盤として活用できるほか、微小重力応答の理解を通じた老化研究・再生医療研究への展開が期待されます。リジェネソームは今後、装置の多検体化と自動化を進めるとともに、実際の軌道上実験との比較検証を目指します。

リジェネソームが見据えるのは、2040年の未来です。人類の生活圏が月面へ広がるとき、その場所で人が健康に生き続けるための技術を提供し、実装することを目標としています。

展示イベント概要


リジェネソーム株式会社について
リジェネソームは、ナノ粒子を活用し、老化抑制や再生医療の新しいソリューションを提供することを目指しています。TAKANAWA GATEWAY CITYの「LiSH(Link Scholars' Hub)」に、本社兼研究所「高輪ロンジェビティーラボ」を開設し、自社ブランド「サイセイラボ」でのヘルスケア事業の展開、ならびに将来のメディカル領域への進出に向けた研究開発を加速させています。将来的には、健康寿命の延伸とともに人類の宇宙進出に貢献することを目指しています。
https://regenesome.com/

スペースシードホールディングス株式会社について
スペースシードホールディングスは、「SFをノンフィクションにする」をミッションとして、投資活動、研究活動ならびに事業創出を行う宇宙系ディープテックベンチャービルダーです。発酵とロンジェビティー技術の社会実装を支援する「Fermentation and Longevity Fund」プログラムの運用などを軸に、社会課題を解決する事業の創出に取り組んでいます。2040年までに各種ステークホルダーとともに、人類が宇宙空間で居住するのに必要な技術を揃えることを目指しています。
https://ss-hd.co.jp/

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