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兜町のレトロビルで老舗画廊再始動 画家・高橋信行展を10年ぶり国内開催

(左から)大西量明さん、利勝さん。兜町を描いた2作品「日本橋兜町」「都寿司を曲がったところ」の前で

(左から)大西量明さん、利勝さん。兜町を描いた2作品「日本橋兜町」「都寿司を曲がったところ」の前で

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 ベイスギャラリー(中央区日本橋茅場町1)で4月12日、画家・高橋信行さんの個展「絵になる景色~高橋信行展~」が始まった。

兜町のレトロビルで老舗画廊再始動 画家・高橋信行展を10年ぶり国内開催(日本橋経済新聞)

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 同ギャラリーのリニューアルを記念して8年ぶりに開く同展。同ギャラリーの開設は1986(昭和61)年。1988(昭和63)年にギャラリースペースを設置し、企画展開催や国内外のアートフェア出店、アーティストの発掘・支援を行っている。2004(平成16)年9月に中央区京橋から茅場町に移転した。現在は、同ギャラリーのアドバイザーを務める大西利勝さんが、息子の量明さんに代表を引き継ぎ、リニューアル準備を進めてきた。

 同ギャラリーが入居する「小浦第一ビル」は現在、利勝さんが声をかけて集まった4ギャラリーが営業しており、休業していたベイスが始動することで全ギャラリーが稼働することとなる。展示面積は5階スペースも含めて120平方メートル。1960(昭和35)年完成のレトロ建築のたたずまいと、古いビルならではの天井の高さが魅力の一つ。

 国内では10年ぶりの開催となる高橋信行展は全12点の展示のうち8点が新作。会期中、5階スペースを開放し4点を展示する。量明さんは「昨年、こけらおとしの展示のため、高橋さんに『日本橋の風景画にトライしていただけないか』と声をかけた。本来、ギャラリーから作品を提案することはまれだが、自然の景色を対象に広々とした空間をモチーフにする高橋さんに、都市の垂直な風景を描くことは新しい取り組みとなり、双方の再出発になるとの期待があった」と量明さん。

 依頼を受け、作品「日本橋兜町」「都寿司を曲がったところ」のアイデアを出した高橋さんは、その時にはまだ「東京」を描ける気がしなかったという。「葉山に移り住んでから時の流れが変わり、今の理想的な生活を守りたい気持ちが大きくなっていたが、今回のような制作をして、人と交流する中で、またこの世界に興味がわいてきた」と高橋さん。「進めてみるといろいろな発見があり、できないと思っていたことが意外と解決していき、無理だと思っていた『東京』が描けた」とも。「ベイスギャラリーの再開は自分にとっても、もう一度新しい何かが始まるタイミング。ふたつの再出発が重なったことをうれしく思っている」と話す。

 量明さんは「証券街のイメージが強かった兜町に今、文化が集まってきている。日本橋兜町・茅場町地区の再開発は、国家戦略特区のプロジェクトとして認定されていることもあり、この4~5年で街の印象が大きく様変わりして、今も変わり続けている。スイーツ店を目当てに来た足でギャラリーに寄ってみる、ギャラリーに来る日にはやりのレストランを予約しておくなど、この街では『寄り道』から成り立つ文化が育っている」と話す。

 リニューアルオープン初日、「ずっとどんな場所なのかと気になっていていた」とオープンの看板を見て、近隣に務める証券マンが初めて訪れたという。量明さんは「仕事の息抜きに公園を歩くようにこのビルのギャラリーに足を向けてもらえるようになれば」と話す。

 営業時間は12時~18時。月曜・祝日定休。6月10日まで。

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